最終更新日 2022.06.15
原価管理システムとは?機能とシステムの選び方を徹底解説
企業が経営判断をするうえで、重要な原価管理。「原価計算の精度が悪い」「原価管理に手間も時間もかかる」などとお悩みの方もいるのではないでしょうか。
そのような悩みを解決してくれるのが「原価管理システム」。原価管理システムを導入することで、今までの悩みを改善することが可能なのです。
そこで本記事では、原価管理システムの概要や基本的な機能、原価管理システムを選定する際のポイントを中心に解説していきます。ぜひ参考にしてください。
記事の内容
- 原価管理とは
- 原価管理をExcelで行うデメリット
- 原価管理システムとは
- 原価管理システムの基本的な機能
- 原価管理システムを導入した方がよい事例
- 原価管理システム導入のメリット
- 原価管理システムを選定する際のポイント
- プロジェクト型ビジネスの原価管理なら「ジョブマネ」
- まとめ
原価管理とは
原価管理とは、利益を向上させるために製品やサービスの原価を管理することです。原価管理は製品を作るために必要な「固定費」と「変動費」に分けて行います。原価の設定だけではなく実績との比較、問題点の分析などを実施し、どのような対策を行えば利益が向上するかを検討します。
別名「コストマネジメント」とも呼ばれており、原価管理を行うことによって業務改善はもちろん利益の向上が見込めます。以前は、製造業を中心に使われていた言葉ですが現在はIT業界、広告業など業種を問わずに仕様されています。
原価とは必要な費用のこと
原価管理の「原価」とは、サービスや製品を提供、製造する際に必要な費用のことです。原価にもいくつか種類がありますが、ここでは2つの原価について解説します。
・製造原価
原材料を仕入れて製品を作る場合の原価を製造原価と言います。製造原価は主に製造業で使われます。製品を作る上で必要な材料費、人件費、外注費、光熱費なども製造原価に含まれます。
・仕入原価
他の企業から仕入れた商品をそのまま販売する時の原価を仕入原価と言います。仕入れた商品が売れた、売れなかったに関係なく商品を仕入れるために支払った費用が仕入原価となります。
商品を仕入れて販売を行うコンビニエンスストア、スーパーマーケットなどの小売業が主に使用します。仕入原価は、商品だけではなく輸送費などの経費も含まれます。
原価管理でわかる4つのポイント
「固定費」と「変動費」に分けて原価管理を行うと以下の4つがわかるようになります。
- 損益分岐点の分析
- 製品ごとの採算性
- 正しい原価予測と利益目標
- 正しい予算
原価管理を行うことは、企業にとってメリットしかありません。最適な生産量がわかるだけではなく、どのようにして利益を出していくのかも明確になります。
原価管理と原価計算は異なるので注意
原価管理と似た言葉で「原価計算」があります。どちらも原価に関係しているのですが、原価計算はサービスや製品を作る際にかかった費用を計算することを指しています。
原価管理は、原価計算によって示された内容を元に製造をコントロールし企業の利益をあげることです。つまり、原価計算は原価管理の中の1つなのです。原価計算と原価管理は同じではないということをしっかり理解しておきましょう。
原価管理を行う目的
次に企業がなぜ原価管理を行わなければいけないのか、その目的と理由について解説していきます。
原価管理を行う目的①利益を管理するため
原価管理を行い製品、サービスにどれくらいの費用がかかっているか把握することで適切な販売価格を設定することができます。正しく原価管理を行っていなければ利益を確保するのは難しいでしょう。
製品やサービスの利益を把握し、無駄なコストをカットすることによりさらに企業の利益確保に繋がります。
原価管理を行う目的②リスク回避
原価管理を行うことで仕入価格が適切であるかどうか把握することができます。仕入価格が上昇すると利益は減少してしまいます。利益を確保するためには仕入先を変更する、販売価格を見直すなど対策を取らなければいけません。
原価管理を行っていなければ仕入価格の変化に気づくことができずに、大きな損失を招く恐れがあります。安定した利益をあげるためには、仕入価格と販売価格のバランスが取れているのかを常に気にしておくことが必要です。
原価管理を行う目的③コスト削減
原価管理を行えば製品にかかっているコストを全て把握することができます。全てを把握することで、以前は必要だったコストが現在は不要になっているなどを見つけることができるかもしれません。
販売価格は一定であっても定期的にコストを見直し削減することによって、利益の向上を行うことができます。
原価管理を行う目的④損益分岐点の把握
原価管理を行うと損益分岐点を明確に理解することができます。損益分岐点とは、利益と損失がどこで分かれるのかのボーダーラインのことです。
製品を販売する場合、最初に原価に対してどれくらいの利益が見込めるのか損益分岐点を把握することが大切です。損益分岐点を把握することで価格設定、経営判断もしやすくなります。
原価管理を行うための手順
原価管理は製品を販売する際にとても大切だということがお分かりいただけたと思います。では具体的にどのような手順で原価管理を行っていくのかを解説していきます。
①標準原価の設定
原価管理の最初のステップは標準原価の設定です。標準原価とは、売り出す製品やサービスの目安となる価格のことです。標準原価をもとに利益を予想します。
一方で、実際に製品を作る時にかかった原価を「実際原価」と言います。事前に算出した標準原価と実際原価を比較し、差額を分析することで削減できるコストがあるかどうかを見つけ改善していきます。実際にこの2つを比較してみるとかなり金額の差が出てしまうことがあります。
この時重要なのが、できるだけ差が出ないように実現可能な標準原価の設定を行うことです。差が出ないために行わなければいけないのが市場調査です。おおよその相場を把握し、過去の製造データ、利益のバランスを加味して設定を行ってください。
②原価計算
開発・生産段階に入ってから実際原価を算出するために原価計算を行います。原価計算には、材料費はもちろん労務費や経費も含まれます。原価計算を行う上で最も大切なことは原価に含まれる費用を全て算出することです。
正確に原価計算を行わなければ利益に大きくかかわってきますのでご注意ください。原価計算の算出方法は、業種やサービス、製品などで異なります。例えば、生産する工場設備の減価償却費用、光熱費、開発にかかった費用も原価計算に含まれます。
③差異分析
次に最初に設定していた標準原価と原価計算で算出した金額を比較し、差異分析を行います。差異分析を行うことで利益が出る製品、サービスであるか否か判断ができます。差異分析を行うポイントとしては「標準原価」と「原価計算」を分析するのではなく以下の費用ごとに見るということです。
- 直接材料費
- 直接労務費
- 製造間接費
材料費は価格差異や数量差異を分析し、労務費は作業時間などの差異の分析を行います。
直接材料費
直接材料費とか主要材料費、買入部品費のことです。主要材料費とは、製品の主要部分に使われる物品の原価のことを言います。衣類の場合は、生地が直接材料費となります。
買入部品費は、外部から購入して製品の一部として使用する部品の原価のことです。衣類では、ファスナーやボタンが買入部品費です。
直接労務費
直接労務費は、製品を生産するための作業に「直接」関わる作業をした時に発生する賃金のことです。
製造間接費
複数の製品の生産を行っていると、どの製品の生産で使われたのかがはっきりと区別することが難しい原価が発生します。はっきり区別できない原価は製造間接費と言い、各製品、一定の基準によって割り振りを行います。
④改善行動
差異分析を行い、改善するためにはどうしたら良いか対策を考えます。製造時に必要以上にかかっているコスト、人件費など課題が明確であれば改善を行いましょう。
- 仕入先を変更する
- 材料仕入の量を増やして仕入単価を削減する
- 生産ラインの見直し など
仕入から製造、人件費に至るまで改善できる箇所は全て見直す必要があります。企業の利益を確保するためにはあらゆる観点から見ることが非常に重要です。
原価管理をExcelで行うデメリット
ここまで原価管理を行う目的、手順を解説しました。原価管理のツールとして企業でよく利用されているのがExcelです。Excelは手軽に原価管理を行うことができますが、Excelで原価管理を行うことには4つのデメリットがあります。
①管理が属人化する
原価管理をExcelで行うデメリット1つ目は、関数やマクロの知識が必要なため管理が属人化してしまうことです。
Excelで原価管理を行う場合には、関数やマクロで原価を算出し管理する仕組みを構築する必要があります。新たに入力する項目を追加、分析するには関数やマクロの知識のある社員に任せるしかありません。
万が一、Excelで原価管理するための仕組みを構築した社員が退職すると、Excelにトラブルが発生した場合に原因を見つけるまでに時間がかかることもあるでしょう。複雑な関数やマクロを使用している場合には、新たに作り直すことになるかもしれません。
関数やマクロがすでに入力されたシートで原価管理するだけなら難しくありません。しかし、目的に応じて関数やマクロを組む難易度は高く、それらを組むことができる人材は非常に少ないのが現状です。Excelを何年も使っていたとしても簡単にできる作業ではありません。
②手間がかかる
原価管理をExcelで行うデメリット2つ目は、管理に手間がかかることです。
Exceで原価管理するためには、複数のシートを管理する必要があります。1つのシートで原価管理しようとするとデータが多くなりすぎるため、プロジェクトごとにシートを分け、マスターシートを用意するケースが一般的です。
レイアウトを変更した場合には、すべてのシートで関数やマクロが正常に機能しているかをチェックする必要があります。データが分散してしまうため、どこを参照したら良いのかわからなくなり手間も時間もかかってしまいます。
③共同編集ができない
原価管理をExcelで行うデメリット3つ目は、共同編集ができないことです。
Excelは共同編集を行うことができません。そのため複数人で管理する場合はファイルをメールで共有する、バージョン管理などを行う必要があります。
修正したファイルをメールで送信し管理を行うことは手間ですし、最新データがわからなくなる可能性が高いためおすすめできません。
④入力ミスをする可能性がある
原価管理をExcelで行うデメリット4つ目は、入力ミスをする可能性があるということです。
別のシートへの記入、関数やマクロが組まれている箇所に上書き保存してしまうなど人的ミスが発生してしまうかもしれません。関数やマクロは一箇所でも間違えると正常に機能しなくなるため、入力ミスを行うと正確な原価計算を行うことができません。
原価管理システムとは
原価管理システムとは、原価計算、予算・実績の比較、損益の計算など、複雑な計算や分析を効率的に行い、さまざまな原価を管理するシステムのことをいいます。原価データを活用したシミュレーションも行えるため、経営判断にも役立てられるのが特徴です。
そもそも「原価管理」とは、原材料費・外注費・労務費といった「原価」を一元管理することにより、原価の維持・低減を図り、利益改善やリスク管理などに取り組むことを指します。
企業が利益を出すためには、売上を伸ばすだけでなく、いかに原価を下げるかということも重要です。システムで原価管理を適切に行うことができれば、その時々で変化する原価にもスピード感を持って対応でき、「気付いたら利益が下がってしまった」などという事態を回避しやすくなるでしょう。
なお、原価管理システムには、大きく分けて次の3つのタイプがあります。自社が必要なのはどのタイプのシステムなのかをチェックしておきましょう。
特定の業界(製造業・建設業)向けのもの
製造業や建設業など、独自の商習慣がある業界に特化した原価管理システムがあります。
プロジェクト管理のためのもの
外注費や労務費などを、プロジェクトごとに把握・分析できる機能が搭載されています。
汎用的なもの
プロジェクト管理に加え、製造物の原価管理も行えるシステムもあります。複雑な配賦設定等が必要ない場合は、汎用的なシステムのほうが運用しやすいかもしれません。
原価管理システムの基本的な機能
原価管理システムには、次のような機能が搭載されています。
原価計算機能
原価計算機能とは、必要な項目を入力すれば、自動で原価を算出してくれる機能のことです。製品の生産やサービスの提供にかかる原価を正確に把握でき、コスト削減のための対策を検討しやすくなるメリットがあります。
原価計算には次のような種類があり、さまざまな切り口で原価を計算することができます。
- 個別原価計算:個々の製品の原価を計算する方法
- 総合原価計算:特定の期間内に発生した原価を計算する方法
- 全部原価計算:製品にかかった費用をすべて原価として計算する方法
- 部分原価計算:製品にかかった一部の費用を原価として計算する方法
- 実際原価計算:実際に発生した原価をもとに計算する方法
- 標準原価計算:費用を目安に設定し原価を計算する方法
個別原価計算と総合原価計算は、製造業でいえば「受注生産の場合→個別原価計算」「大量生産の場合→総合原価計算」のように使い分けられます。
損益計算機能
損益計算機能は、原価計算に加えて製品別の「ライフサイクルコスト」を把握することで、製品ごとの損益や、月次・四半期ごとの損益を計算できる機能です。
ライフサイクルコストとは、製品やサービスなどを製造・利用するにあたっての、「企画・設計〜生産・構築〜使用〜廃棄」などの一連の流れにおいて発生するトータルコストのことを指します。
原価管理システムを使用すれば、損益をすぐに計算・判断できるため、予算編成の迅速化が図れるでしょう。
配賦計算機能
配賦(はいふ)計算機能とは、複数の製品や部門を横断して発生する費用について、独自の基準・パターンで割り当てて計算してくれる機能です。この機能を活用することで配賦を適正化でき、合理的な判断ができるようになります。
原価差異分析機能
原価差異分析機能は、「標準原価(予算)」と「実際原価(実績)」の差異について、比較分析する際に活用できます。
原価の差異には、予定していた原価よりも低い「有利差異」と、予定していた原価よりも高い「不利差異」があります。これらの差異の原因を分析し、今後の改善策を検討できるでしょう。
原価シミュレーション機能
原価シミュレーション機能は、原価変動を把握・予測することで、リスク管理や経営戦略に役立てるための機能です。
システムに蓄積した原価データから、予算などに関わる経営シミュレーションを立てることもできます。
システム連携によるデータ共有機能
多くの原価管理システムは、会計システム・販売管理システム・生産管理システムなどの既存システムと柔軟に連携し、容易にデータ共有ができます。
基幹システム(ERP)のように経営情報を一元管理することも可能です。
内部統制関連機能
原価管理システムの製品の多くは、セキュリティ対策として、さまざまな管理機能・承認機能を搭載しています。パスワード管理、個別のアクセス管理、データ更新履歴、改ざん防止などが機能の一例です。これらの機能が搭載されていることで、安心してシステムを活用できます。
¥1,000~/月で1名からご利用可能な「ジョブマネ」なら、中小企業の原価管理に必要な機能が揃っています。 下記より原価管理詳細をご覧ください。
原価管理システムを導入した方がよい事例
具体的にどのような悩み、課題を抱えている場合に導入したらよいか事例を紹介していきます。以下の項目に当てはまる場合は原価管理システムを導入することにより、管理しやすくなることが期待できます。
原価計算が複雑
工程別原価、部門別原価などさまざまな原価計算を行っている場合、原価計算が複雑で処理に時間がかかってしまうことがあります。どこか1箇所で入力ミスや計算ミスをしてしまうと、正しい原価を導くことができないためシステムの導入がおすすめです。
原価管理システムを導入することにより、さまざまな種類の原価計算を自動で行うことができるようになります。これまでかかっていた時間の短縮にもつながりますし、手動管理の負担軽減にもつながります。
原価計算の精度が低い
原価計算を行っても、実値とかなりの誤差があると目標達成のための利益計画や経営判断ができなくなります。原価計算の精度によって正しい利益計画、経営判断ができるか否かがかかっていると言っても過言ではありません。
正しい原価計算、精度の高い原価計算を行うためにシステムを導入するのも選択肢の1つです。システムを導入することにより、経営に必要な情報をリアルタイムで確認することができます。可視化することにより、改善点がどこにあるのかも容易に見ることができます。
正しい原価計算をもとにPDCAを行い、利益向上を目指しましょう。
Excelでの管理が難しい
原価管理システムの代わりとしてよく使われているのがExcelです。しかし、Excelは他のツールと連携することが難しく、専門的な知識を持っている人でなければ扱うことができません。
バックアップを取っていたとしても誤ってExcelを削除してしまうとデータが全て消えてしまう恐れもあります。
それだけではなく、Excelはリアルタイムでの情報の共有を行うこともできません。作業の属人化防止、最新情報をすぐに共有できるようにするためには原価管理システムの導入がおすすめです。
原価管理システム導入のメリット
原価管理システムを導入すると以下のメリットを得ることができます。新しいシステムを導入することは心配ですし、抵抗があるかもしれません。 しかしこのようなメリットがありますので前向きに検討してみてください。
①原価管理業務が効率よくできる
原価計算は、算出方法がたくさんあるため煩雑になってしまいます。原価管理システムには、煩雑な計算をスムーズに行うことができる原価計算機能が最初から備わっています。そのため計算方法が複数あったとしても問題ありません。
原価計算システムを活用することで正しい原価計算を把握できるだけではなく、標準原価、実際原価の算出が簡単に行うことができます。
これまで原価管理業務にかかっていた時間を他の業務に充てることもできますので、業務単体の効率化にも繋がります。
②最新情報をすぐに経営に反映できる
原価管理システムを導入すると「原価差異分析」「損益分岐点」など経営に直接関係してくるポイントをすぐに確認することができます。原価管理システムによっては、グラフなどによって可視化してくれるものもあります。
特に最近では海外との繋がりが強くなってきていますので、為替の動きが原価に与える影響が大きくなっています。原価管理システムを導入し、リアルタイムで正確な原価差異分析を行うことができれば柔軟な対応を行うことができます。
社会情勢に応じた対応をすぐに行うためには、原価管理システムを導入し重要情報をすぐに掴むことが大切です。
③人的コストを削減できる
今まで複数人で行っていた原価管理業務も、システムを導入することで最少人数に削減することができます。原価管理システムはたくさんの機能が自動化されているため、担当者は最低限の入力作業を行うだけで良いのです。
それだけではなく製品番号、仕入先などでカテゴリー分けした帳票を表示させたり出力することもできます。必要な情報だけをすぐに確認することができるのも、原価管理システムの大きなメリットだと言えます。
④複数のシュミレーションを行うことができる
原価管理システムの中には複数のシュミレーションを行うことができる機能が備わっているものもあります。この機能を活用することで仕入先の変更、原料の高騰によって原価がどれくらい変化するのか、自社に与える影響のシュミレーションができます。
中には「頻繁に仕入先を替えることはないからシュミレーション機能は必要ない」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、最近の物価上昇はどの業界にも大きな影響を及ぼしています。
それだけではなく、今後さらに物価が上昇することも予想されています。企業の利益を守るためにも、シュミレーション機能を活用しさまざまな状況に合わせた準備をしておくことが大切です。
原価管理システムは、状況に合わせた経営方法を事前に練ることができるツールとも言えます。
原価管理システムを選定する際のポイント
原価管理システムを選定する際には、いくつか確認しておくべきポイントがあります。以下では、おもな選定ポイントについて見ていきましょう。
①ERPツールなのか、原価管理システム単体なのか
原価管理システムを導入するうえでは、基幹システム(ERP)との連携を考える必要があります。原価管理システムつきのERPツールを導入するか、または原価管理システムを単体で導入し、自社の既存の基幹システムと連携させるのかによって、選ぶべきシステムが変わってくるでしょう。
それだけではなく、原価の計算方法は業種や業界によって大きく異なります。「原価管理システム」と言っても、製造業専用、建築業界専用など特定の業種に特化して作られたシステムも販売されています。原価管理システムを導入する際は、自社に合ったシステムを選ぶことが大切です。
自社が抱えている課題、経営状態など全て洗い出してどの原価管理システムが良いのかを検討してください。
②自社の業種・業界に合っているか
前述のとおり、原価管理システムのなかには、製造業や建設業などの特定の業種・業界に向けたものもあります。原価の計算方法や重視するポイントは業種・業界によって異なるため、自社の業務内容と合わないものを選ばないよう、注意が必要です。
IT業界
IT業界やゲーム制作をメインとしている業界では、プロジェクト単位で業務を行うことがほとんどです。1つのプロジェクトが終了し、売上が全て計上できる時に経費も合わせて計上します。
そのためIT業界の原価管理はプロジェクト毎に行うのが一般的となっています。原価管理に関わる費用は、主に人件費、外部委託費、その他の経費です。そして、最終的な利益を算出していきます。
例えばプロジェクトAの利益が100万円、プロジェクトBの利益が150万円だったとします。IT業界ではこの利益を基準として「今後プロジェクトAを提供してくれた企業と仕事を行うのか、プロジェクトBを提供してくれた企業と仕事を行うのか」など経営判断をします。
広告業界
広告業界もIT業界と同じように、プロジェクト単位で行われます。広告業界は、広告制作費、撮影費、広告運用費など原価の種類が多いのが特徴です。
広告業界は、業務提携を行っている企業から依頼を受けることもありますがコンペを行い契約につながることもあります。1つのプロジェクトでもカメラマン、デザイナーなど関わる人が増えれば増えるほど経費(人件費)の種類も増えていきます。
全ての経費を把握して直接費、間接費に分けることはもちろんですが必要があれば間接費を按分する計算を行わなければいけません。
最終的な数字を見て、どのプロジェクトの利益が多かったのか、作業効率と比較して判断します。
士業
士業では、コンサルティングなど専門知識を活かして形のないサービスを提供することがほとんどです。そのため原価のほとんどを事務所で勤務しているスタッフのお給料が占めています。
それ以外の経費として挙げられるのは、会計システムの購入費、事務所の水道光熱費、事務用品、事務所の家賃などです。原価を抑えるためにスタッフの数を減らすことも選択肢の1つですが、その他の経費を見直すことも大切です。
士業の原価管理は案件毎に行われます。複数の案件を抱えているスタッフは、工数を正確に割り振ることが困難なため正しく原価管理を行うためには工夫が必要です。
建築業
建築業では、大規模工事は工事進行基準が強制適用されます。それ以外は工事完成基準、もしくは工事進行基準を選択することができます。
建築業は1つの工事が完成するまで時間がかかりますし、売上の入金が「着手時・中間金・完成」と複数回に分かれる会計処理を行います。独特な会計処理を行わなければいけないため、工事に合わせた原価計算が求められます。
仮に工事中のまま決算期を迎える場合、「未成工事支出金」を使います。未成工事支出金は、一般会計の「在庫」のことで資産科目として計上を行います。在庫の増減は利益に影響を与えますが、それと同じように未成工事支出金も正しく計算を行うことで正確な利益を出すことができます。
未成工事支出金と同様に、「完成工事未収入金」もとても重要です。「完成工事未収入金」は、一般会計科目でいう売掛金です。つまり、完成している工事で売上も計上できるがお金の回収ができていないものということになります。
③プロジェクト単位で原価管理ができるか
受注生産を行っている場合や、事業がプロジェクト型の場合は、プロジェクト単位での原価管理が求められます。プロジェクト一つひとつの原価をリアルタイムで把握し、赤字の原因を見える化できるかがポイントです。
④モバイル端末に対応しているか
原価管理システム内の情報を、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末で閲覧できるかも大切なポイントです。必要な情報をいつでも確認することができれば、その都度社内へ問い合わせる必要がなくなります。
⑤カスタマイズができるか
原価管理システムには、クラウドやパッケージなどさまざまな提供方法があります。原価管理システムを選ぶ際は、カスタマイズ可能なものを選ぶのがおすすめです。
自社に合った原価管理システムを選んだ場合でも、実装するにはカスタマイズやアドオン開発が必要ということもあります。事前に必要な機能を書き出し、自社に合っている原価管理システムであるかをよく確認しましょう。
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ジョブマネには以下の17の機能が搭載されています。
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- 商談履歴
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- 入金登録
- レポート
- ToDo管理
- 工数管理
- ワークフロー
- 共有資料
- 顧客管理
- 案件管理
- 請求書発行
- 問い合わせ管理
もちろん原価管理機能も搭載されています。原価管理機能では、1つの売上に対して複数の登録を行うことができます。外注先が増えても正確に管理できるので安心です。
外注費もしっかり把握できるため、余計な外注コストの削減にもつながります。原価情報を登録するだけで注文書が自動作成されるため、作業の手間を省くこともできます。
1ユーザーから導入できるため、中小企業様や部門単位での利用に最適です。また、即日導入も可能なので、システム導入を急いでいるケースにも対応できます。
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原価管理機能について詳しくはこちら
導入事例|株式会社青空
Webサイト制作事業などを展開している株式会社青空様。今までは個別の案件毎にどれくらいの作業時間がかかっているのか把握できていなかったため、正確な原価管理を行っていなかったそうです。
しかし、ジョブマネ導入後は案件毎の利益計算ができるようになり工数管理も数値化に成功。「これまでどんぶり勘定で行われていた原価管理も各ディレクターが行うようになり、自立したディレクターに育っているように思える」とお話していただきました。
WEB制作やアプリ制作を行っている企業様からもジョブマネは高評価をいただいています。
まとめ
原価管理システムの目的やメリットについて解説しました。原価管理システムには、原価計算、予算・実績の比較、損益の計算など、複雑な計算や分析を効率的に行える機能が搭載されています。
システムを活用することにより、属人化することなく原価管理を行うことができるようになります。原価管理システムであればなんでも良いというわけではありません。原価管理システムにはさまざまな種類がありますので、自社の業種や求める機能を持っているシステムを選ぶようにしましょう。
原価管理システムを選定する際には、次のポイントに着目することが大切です。
・ERPツールなのか、原価管理システム単体なのか
・業種・業界に合っているか
・プロジェクト単位で原価管理ができるか
・モバイル端末に対応しているか
・カスタマイズできるか
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このコラムを書いたライター
