インボイス制度が与える影響とは?中小企業が押さえておくべきポイントを解説! | ジョブマネ

最終更新日 2022.06.29

インボイス制度が与える影響とは?中小企業が押さえておくべきポイントを解説!

2023(令和5)年10月1日からスタートする「インボイス制度」。インボイス制度の影響を大きく受けてしまう可能性が高いのは、年間売上高が1,000万円以下の中小企業や個人事業主などです。

そこで本記事では、インボイス制度の概要を確認しつつ、インボイス制度が始まるとどのような影響があるのか・中小企業や個人事業主はどのように対応すれば良いのかなどを解説していきます。

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記事の内容

1.  インボイス制度(適格請求書等保存方式)とは


はじめに、インボイス制度の概要について、押さえておくべき用語の意味とともに解説していきます。

インボイス制度とは、所定の記載要件を満たした「適格請求書(=インボイス)」を発行・保存する制度で、2023(令和5)年10月1日から運用が開始されるものです。

適格請求書を発行・保存することにより、事業者は消費税の「仕入税額控除」を受けられます。

参考:インボイス制度の概要|国税庁

 

「適格請求書(インボイス)」「仕入税額控除」の詳しい意味は、次のとおりです。

1−1.適格請求書とは

2019(令和元)年10月1日から、消費増税にともなう軽減税率が導入されたことにより、消費に対して8%と10%のどちらの請求も発生しうる状態となりました。

そのため現行の請求書は、「区分記載請求書」という、基本的な請求書情報に次の2点を加えた請求書の方式となっています。

1.軽減税率が適用されている旨の表記
2.適用税率ごとに分けて合計した対価の額

そして、インボイス制度で必要になる「適格請求書」とは、上記の区分記載請求書に次の3点を加えた請求書を指します。

1.適用税率
2.適用税率ごとの消費税額
3.インボイス制度の登録番号

1−2.仕入税額控除とは

仕入税額控除とは、消費税を計算する際に、売上に含まれる消費税額から仕入れに含まれる消費税額を差し引く仕組みを指します。これにより、生産や流通の各取引段階で、二重・三重に課税が発生するのを防ぐのが目的です。

仕入税額控除がないと、例えば仕入れの際に事業者が支払った消費税と、消費者がその品物を買った際に支払った消費税の両方が税金になってしまいます。なお、仕入税額控除の対象となる取引について、詳しくは下記の国税庁ホームページをご覧ください。

参考:仕入税額控除の対象となるもの|国税庁

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2.  インボイス制度が始まるとどうなる?


インボイス制度が始まると、事業者にはどのような変化があるのでしょうか。

ここでは、「課税事業者」と「免税事業者」の定義を確認したうえで、それぞれのケース別にご説明します。

2−1.「課税事業者」と「免税事業者」の定義

消費税制度のもとで、事業者は次のように「課税事業者」と「免税事業者」に分けられます。

(1)課税事業者:消費税を納める義務を負っている事業者のこと

(2)免税事業者:おもに次の要件を満たし、消費税を納める義務を免除されている事業者のこと

  <個人の場合>

 ・前々年の課税売上高が1,000万円以下である
 ・前年の1〜6月末までの課税売上高や給与等支払額が1,000万円以下である

 <法人の場合>

 ・前々事業年度の課税売上高が1,000万円以下である
 ・前事業年度の開始以後6ヵ月間の課税売上高や給与等支払額が1,000万円以下である
 ・事業年度開始日における資本金の額または出資の金額が1,000万円未満である

したがって、例えば起業して間もない中小企業やフリーランスの方などは、免税事業者になる可能性が高いといえます。

2−2.課税事業者の場合

課税事業者は、仕入税額控除を行い、消費税を納付する必要があります。

インボイス制度が始まると、仕入税額控除を行うためには、仕入先から適格請求書を入手しなければなりません。

免税事業者などから仕入れる場合など適格請求書を入手できないケースでは、仕入税額控除ができないため、自社(課税事業者)の税負担の増加につながる可能性があります。

ただし、インボイス制度導入後6年間は、免税事業者などからの仕入れについても一定割合の仕入税額控除ができる経過措置があることを理解しておきましょう。

 

<経過措置>

・2026(令和8)年9月30日まで:免税事業者などからの仕入れの80%を控除可能
・2029(令和11)年9月30日まで:免税事業者などからの仕入れの50%を控除可能
・2029(令和11)年10月1日から:免税事業者などからの仕入れは控除不可

<経過措置を受けるための条件>

・以下の1と2が必要

1.区分記載請求書等(現行制度)と同様の事項が記載された請求書
2.経過措置を受けることを記載した帳簿の保存

2−3.免税事業者の場合

免税事業者は、消費税の納付は免除されるものの、適格請求書を発行することはできません。

自社(免税事業者)が適格請求書を発行できないと、取引先の課税事業者も仕入税額控除ができないため、取引先の税負担の増加につながる可能性があります。

2−4.課税事業者でインボイスの登録申請をしない場合

先に課税事業者のケースをご説明しましたが、課税事業者でも「適格請求書発行事業者」としての登録申請を行わなければ、免税事業者と同じ扱いになります。

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3.  中小企業や個人事業主は注意!インボイス制度が与える影響


前章では、インボイス制度が始まると、課税事業者・免税事業者それぞれに影響が生じる可能性があることをお伝えしました。なかでも免税事業者である中小企業や個人事業主に関しては、マイナスの影響が懸念されるといってよいでしょう。

 インボイス制度の導入により、これまで消費税を納める義務を免除されていた中小企業や個人事業主は、免税事業者のままでいるか、課税事業者になるのか判断する必要があります。

3−1.(1)免税事業者のままでいる場合:売上が減少する可能性がある

免税事業者のままでいる場合は、これまでどおり消費税の納付は不要です。しかし前述したとおり、課税事業者が仕事を発注する場合、免税事業者との取引は税負担の増加につながるため、取引を避けられる可能性があります。

また、取引自体は継続したとしても、実質的な値引きを要求されることが考えられるでしょう。「自社の場合は売上が減少する可能性が高い」と判断し、課税事業者として適格請求書の発行を希望する場合は、登録申請手続きをする必要があります。

3−2.(2)課税事業者になる場合:納税事務の負担の増加、利益の減少が懸念される

免税事業者が課税事業者になれば、取引先は仕入税額控除ができるため、取引を継続してもらえる可能性が高くなります。しかし、消費税の納付が発生することから、その分を販売価格に転嫁できなければ、利益が減少するリスクもあるでしょう。

加えて、これまでにはなかった消費税の計算・申告・納税事務の負担が増えることも想定しておく必要があります。

3−3.影響の大きさは取引先により異なる

そもそも、一般消費者を相手に事業を行っている免税事業者(例:学習塾、ゲームセンターなど)の場合は、課税事業者にならなくても影響は少ないと考えられます。

一方、事業者を相手に事業を行っている免税事業者(例:建設業や製造業など)の場合は、免税事業者のままでいることによる影響が大きいと想定されるため、課税事業者になるか検討してみると良いかもしれません。

最終的な判断はそれぞれの事業者に委ねられているため、自社にはどれくらいの影響があるのか、どのような選択をすればメリットがあるかを検討してみてください。

参考:中小企業・小規模事業者のためのインボイス制度対策|日本商工会議所 中小企業振興部

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4.  免税事業者が課税事業者になるには?


ここでは、免税事業者が課税事業者(かつ適格請求書発行事業者)になることを決めた場合の、必要な手続き・対処法などをご紹介します。

4−1.適格請求書発行事業者として登録申請する

まずは、適格請求書発行事業者として登録するため、税務署に「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出します。適格請求書発行事業者として登録されると、登録番号などが記載された「登録通知書」が送付されます。

参考:e-Taxによる登録申請手続|国税庁

申請期限は2023(令和5)年3月31日までで、2022(令和4)年6月現在、すでに申請期間は始まっています。法人の場合、申請書に記載された住所・会社名・登録番号・登録年月日が国税庁のホームページで公開されることを覚えておきましょう。

4−2.適格請求書へ変更する

適格請求書発行事業者としての登録を受けたら、自社が発行する請求書を、2023(令和5)年10月1日から変更します。

エクセルや自社独自のシステムなどを使って請求書を作成・発行している場合は、誤りのないよう注意が必要です。できれば、インボイス制度に対応したITツールを活用するとよいでしょう。 

 

5.  「ジョブマネ」はインボイス制度の準備を始める中小企業様におすすめ! 


弊社が提供するグループウェア&業務管理ツールの「ジョブマネ」は、標準機能でインボイス制度に対応しています。適格請求書発行事業者としての登録番号をあらかじめ自社情報に登録しておけば、請求書や納品書に自動記載されるため、負担なくインボイス制度の準備が可能です。

また、ジョブマネは1ユーザーから利用できるため、中小企業様や部門単位での利用に最適です。30日間の無料トライアルがあり、インボイス制度に対応した各種帳票を確認できるので、これからインボイス制度の準備を始めるなら、ジョブマネを活用してみてはいかがでしょうか。

 

6.  まとめ


インボイス制度が始まると、免税事業者である中小企業や個人事業主は大きな影響を受けることが予想されます。免税事業者のままでいるのか、課税事業者になるのかは、自社が受ける影響の大きさなどを考慮し十分に検討してください。

中小企業と相性の良い「ジョブマネ」はインボイス制度に対応しているだけでなく、グループウェア、営業支援(SFA)、顧客管理(CRM)、基幹システム(ERP)がデータ連携し業務効率化を目指せるツールです。まずは無料トライアルを活用し、自社との相性を確認してみてはいかがでしょうか。

 

中小企業のためのインボイス制度対応ガイド

このコラムを書いたライター

ジョブマネ運営事務局 マーケティング担当
ジョブマネ運営事務局 マーケティング担当
新卒で都内の営業支援会社にて新規開拓営業に従事し、大企業向けにwebチャットツールの提案営業を行う。沖縄に帰郷後、salesforceの代理店にて中小企業向けの業務改善に従事。現在は自社開発業務改善ツール「ジョブマネ」のwebマーケティングに従事し、少しでも多くの中小・零細企業の業務改善ができるよう日々奮闘中。
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